こんにちは。
歯科衛生士のナカタ コマチです。
前回は、お子さまの歯が乳歯から永久歯に生え変わる大切な時期に知っておきたい、歯の磨き方やケアについてお話しました。
そのなかで虫歯予防に効果的な方法として紹介した「シーラント」について、今回はもうちょっとくわしく説明したいと思います。
スポンサーリンク
目次
シーラントについてかんたんに復習しましょう!
まず、
どんなに丁寧に磨いてあげてもハブラシでは磨けない細かい溝が、歯にはある
この事実を受け止めることからはじまります……><
わたしの働く歯科医院にも、
「すごく気をつけて毎日歯磨きしてあげてたのに、虫歯になるなんて…(泣)」っていうママさんが治療にいらっしゃいます。
この言葉に対する回答としては(事実のみを伝えようとすると)
「それは歯ブラシが届かないところだからなんですよ (*_*)」
ということになります。
そんなに小さい小さいスキマにも虫歯菌は入って虫歯をつくっちゃうんです。
そこで、その細かい溝に樹脂を埋めて虫歯菌の侵入を防いでしまうのが「シーラント」という治療なんです。
ということで、まずはどの歯をシーラントすると効果的なのかをお話ししたあと、シーラントの手順や、シーラントする上で覚えておいてほしい大事なポイントを説明したいと思います。
どの歯をシーラントすればいい?
大きく言うと、3種類の歯があげられます。
まずは下の図をご覧ください。
ライオン歯科衛生研究所(https://www.lion-dent-health.or.jp/basic/basic13.htm)より引用(手書き部分を除く)
1.生えたての奥歯の永久歯
上の図で赤く丸をつけている歯たちです。
前歯から数えて、6番目と7番目にある歯ですね。とくに6番目にある歯のことは「6歳臼歯(ろくさいきゅうし)」といいます。
この6歳臼歯は、
- 初めて生えてくる永久歯(大人の歯)なので、生えてきたことに気づきにくい
- 歯の高さが、乳歯より低いので歯磨きしにくい
- かみ合わせの面が複雑で歯ブラシで磨きにくい
という特徴があります。
(7番目にある歯も同様に磨きにくい歯になります。)
2.生えたての前歯の永久歯
こちらは上の図でのみどり色で丸をつけた歯たちになります。
この歯の裏側にはとても深い溝があるんです。前歯の裏側ってことでただでさえ磨きにくいんですが、さらに汚れも溜まりやすい構造をしているってことなんですね。
3.奥歯の乳歯
上の図で、ピンク色で丸をつけた歯です。
これは永久歯ではなく乳歯ではあるのですが、それでも10歳、11歳ごろまで生えている歯ですし、虫歯になってその後生えてくる永久歯に悪い影響をあたえないため、シーラントをおすすめする歯でもあります。
やっぱり溝が複雑で虫歯になりやすい歯なんですよ。
ということで、もうおわかりの方も多いと思うのですが、これら3種類の歯の特徴は、そのまま「シーラント」したほうがいい理由になるんです!
つまり「磨きにくくて虫歯になりやすい歯」ってことですね。
6歳ごろになったら、これら3種類の歯の状況は要チェックですよ!!
実際のシーラントの手順は?
1.おそうじ
歯科医院にある専用の機械で、きれいに溝をそうじします。この機械は一般的には超音波で汚れを落とすものになりますので「キーン」という音はしてしましますが、とくに痛いというものではありません。
2.酸処理
シーラントでは、溝に樹脂を埋めて虫歯を防ぐわけですが、その準備として樹脂が歯によくくっつくように酸処理を行っておきます。「酸処理」と聞くとニオイがしたり、しみたりしないのかな…って心配になる方もいると思うのですが、安心してください。ニオイもしみたりもありません。
3.樹脂を埋める
これがまさに「シーラントする」ということですね。専用の樹脂を歯に流し入れて溝を埋めていきます。
4.光をあてる
溝を埋める樹脂は、専用の光にあてると固まる性質をもっています。なので、溝に樹脂を流し込んだあとにこの光をあてることで歯に樹脂を定着させることができるんです。これも特に痛みなどありませんのでご安心を^^
5.チェック
最後に、固めた樹脂を確認して段差などができていないかをチェックします。
シーラントの流れは以上です。
時間的には すべての工程あわせて、1本の歯あたり15分〜20分もあればじゅうぶんに終わります。
最後に、シーラントをする上で覚えておいてほしいポイントをあげておきますね。
スポンサーリンク
シーラントをする上で大事なポイント3つ
1.早めに処置する
かみ合わせの面(「咬合面(こうごうめん)」といいます)がすべて顔を出したら、できるだけ早めにシーラントをしてもらいましょう。
なにせ虫歯になりやすい歯ですから、すこしでも早い方がシーラントの効果も高くなります。
2.じょうずな先生にやってもらう
じゃあ、いい先生を見分ける方法って? という話になるんですが
【関連記事:いい歯医者の選び方。あなたの行ってる歯医者はどうですか? 】
さきほどのシーラントの流れのところでお話ししましたが、シーラントは溝の部分だけを埋めるように樹脂を流し込む作業になりますので、あまり下手だと、逆に樹脂で歯がガタガタになったり、ひっかかりができたりすることもなくはありません。
最初の歯のおそうじも丁寧にやらないと、溝に汚れがあるままの状態で埋めてしまうと樹脂の中で虫歯ができてしまったりするので、まわりのママの評判などを聞いて歯科医院を選んでいただくことも重要です。
3.定期検診を受ける
じょうずにシーラントしてもらっても、毎日の食事などで樹脂が欠けたりとれてしまう可能性もあります。
それが原因で虫歯になることもやっぱりありますので
「一度シーラントしたからもう大丈夫〜〜」
と安心しきらず、他の歯の定期検診とあわせて、継続的に診てもらうようにしましょう。
シーラントにかかる費用。いくらぐらいかかるの??
シーラントは基本的に保険適応外(自費)になります。
1本あたり500円〜2,000円ぐらいかかります。(自費なので歯科医院によって差があります。)
でも、保険で治療できる場合があるんです。
それは、「6歳〜12歳の初期虫歯」に対して、です。
「虫歯リスクが高い6歳〜12歳」で、まだ歯を削って治療するほどでもない「初期の虫歯」に対しては、保険でシーラントができるってことなんです!
保険が適用できるとだいたい1本400円ぐらいですね。
健康保険は病気や怪我など、治療が必要なときにのみ利用できるということなんです。
ただ実際にわたしたち自身が初期虫歯のタイミングを狙いすまして歯医者に行くっていうのは現実的じゃないですよね。そんなタイミングわかるかいっ!てかんじです。
ですので、定期検診として一定のタイミングで歯医者にいきながら先生と相談して、どのタイミングでシーラントするかを相談するのが一番いいと思います。
まとめ
ということで、今回は「シーラント」についてくわしくお話ししました。
一生付き合うことになる永久歯は、その最初の段階でのケアによってその後虫歯になる確率をグッと減らせるんですよ。
(シーラントをした歯のうち66.7%はその後虫歯にならない、という結果も出ているようです。)
虫歯予防効果がとても高いシーラント。ぜひ検討してみてください!
【あわせてどうぞ】
スポンサーリンク