こんにちは。歯科衛生士のナカタ コマチです。
わたしが最初に林修さんを目にしたのは、おそらくみなさんもそうであるように、テレビのCMでした。
以降も特に気にかけることなく「今でしょの人」ぐらいの認識でいましたが、ある日ふと見た「情熱大陸」での林さんの言動に釘付けになりました。
キメ顔で「今でしょ!」と鼻につくポーズを作る、わたしのイメージの林さんはそこにはいませんでした。
いたのは、クールな、いえクール以上に「コールド」といってもいいほど冷静沈着で自分を客観的に語る林さんでした。
そんな林さんの本を何冊か読み、わたし自身のモノの考え方もけっこう変わったと感じています。
この「林修の仕事原論」は林さんの仕事観に基づいた、仕事というものの基本について書かれた本ですが、よくあるビジネス書とは明らかに一線を画しています。
この本を書いた目的については、林さん本人が本のはじめにこう書いています。
(中略)目的は、多くのこの種の本のように、このやり方を受け入れて仕事をしてください、ということではありません。もちろん、納得して実際に採用してくださる場合もあるでしょうが、それは主たる目的ではないのです。
他者の「仕事観」を知ることは、自らの「仕事観」を見直すことにつながります。そのきっかけになればという思いで筆を走らせました。
「わたしはこうやってうまくいきました」
「だからあなたもこうすればいいですよ」
ふつうのビジネス書というのはこういう論調で書かれたものが大半だと思いますが、この「林修の仕事原論」はそうではありません。
著者(林さん)はこう考えている。じゃあ一体、自分はどうだろう。
読むわたし自身について考えさせられる内容になっているのです。
林修の仕事観
林さんの仕事観をひとことで表す言葉をなにかひとつだけ選べ、といわれたらわたしはこの言葉を選びます。
「うまくいく仕事」が天職
ようするに、
仕事は「好きか嫌いか」で選ぶようなものではない。「できるかできないか」で選ぶべきだ
という仕事観です。
事実、林さん自身は20年以上続けている予備校講師の仕事も
(大)嫌いな仕事ですが、(誰よりも)できるという自負のもとに続けてきました。
と書いています。
この言葉については反発する方もいると思いますが、わたしはとても納得ができます。
たとえば、わたしが予備校生だとしたら、
「教えることが大好きで予備校講師を天職だと思っているけど、教えることはうまくない講師」なんかに勉強を教わりたくはないからです。
お医者さんでも同じですよね。
「人柄は最高に良いけど手術の下手な医者」に自分の命をあずけるなんて、絶対にいやです。
このように、仕事においては、まず「自分の勝てる場所」を真剣に探すことから始まると林さんは言います。
そのうえで「正しい方向で、十分な量をなされた努力」によって結果が残せると続けます。
正しい場所で、正しい方向で、十分な量をなされた努力は報われる
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どうやって天職を探すのか
ではどうやってその天職を探すのか。
これについても林さんはとてもクールな視点でヒントをくれています。
利害関係のない人の評価を大事にするということです。
人間の自己認識は他者認識よりも不正確な場合が多いのです。(中略)それに対して周りの人、特に先に述べたような利害関係のない第三者が本質を見抜くことは案外多い
「他人に褒められる分野」にどう意識的であるかも大事だといいます。
同様に、自分と他者との比較も重要で
自分より明らかに少ない投資で同様、ないしは自分以上の結果を残す人が多数いるようなら、その仕事に対する自分の適性は低いと冷静に判断を下すこともときには必要です。
と語り、ここでもあくまで「好きか嫌いか」でなく「できるかできないか」での判断を優先させるべきというスタンスなのです。
この本のもうひとつの「読みどころ」
こんなふうに、林さんの仕事観をとおして自分の仕事観と向き合い、見直していくことができるのですが、この本の魅力はここだけにとどまらないのです。
PART2では「必ず結果を出す人の対人力」ということで、人間関係に対するとても深い洞察を与えてくれます。
わたし個人としては、このパートの林さんの対人スキルに目からウロコが何枚も落ちました。 いくつかご紹介させていただきます。
まずはこの言葉です。
わかってほしいようにわかってあげる
人が人に好印象を抱くのは「この人は、自分のことを、自分がわかってほしいようにわかってくれる」と思った時だというのです。
この指摘、すごくないですか。
「相手が望むように」相手をわかってあげる、たしかにこれだけで相手からの印象はとてもいいものになるはずです。
じゃあ、どうやって「相手が望んでいる」ことを知るのか。
それには「とにかく観察する」ことだと林さんは言います。
ヒントは相手が発している、と。
たとえばスマホに可愛いストラップを付けている人は、それをつけるのが好きであることはもちろん、その背後には
『こういう可愛いものが好きなワタシ、を好意的に受け取って欲しい』
という心理があると指摘されています。
ですから、この場合であればそのストラップに気づき、共感してあげることがセオリーなのだということです。
この例だけをみると「あざとく」感じてしまうかもしれませんが、実際の人間関係のなかでこういったことが自然とできる人というのは、決して相手に不快感を与えないですし、知らず知らずのうちに好感をもたれるであろうことは容易に想像がつきますよね。
「そんな調子のいいことなんて言いたくない」と思う方もいるでしょうが、相手が喜んでくれるためならと大胆に行きましょう、と林さんは促します。
対人関係においては、自分のこだわりよりも相手の価値基準に合わせた対応が、なによりのもてなしだということです。
こんなふうに、この本の中では対人関係についても、林さんのするどく、かつドライな観察眼でいくつもの名言が収録されています。
たとえばこんな言葉。
コミュニケーションは「始まる前に終わっている」
これは特に女性との関係で顕著だとしたうえで、問題が生じたときや協力を頼みたい時になって頭を下げても遅いと指摘します。
特に女性は、あらかじめ応援する人とそうでない人を決めてしまっているので、応援しようと思っている人にお願いされたら張り切ってくれるけれど、そうでない人に頼まれた場合にはモチベーションも上がらずうまくいかない、といいます。
これは女のわたしも「んーーーー。そうかも…」と納得せざるをえない部分があります ^^;
その上で、林さんは周囲の女性と良好な関係を築くにあたって大事なこととして「距離感」をあげています。
「それぞれの女性には、それぞれに望ましい適切な距離がある」とし、それをそのつど計ることが必要だというのです。
忘れてはいけないのは、そこには全員に共通する統一的な基準なんてない、ということです。ひとりひとり違う。しかも個人差も大きい、と。
だから、一つの基準ですませようとするのは精神の怠惰とまで言い切ります。
相手をよく観察し、相手の望む距離で接することを通じてこそ、女性の力を借りることができるということです。
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ハッとさせられる思考
これまで疑うこともなく受け入れてきた価値観や行動についても、少し角度をずらした視点をわたしたちに与えてくれます。
「一発逆転」が必要な状況をつくらない
窮地に陥った状況からの、まさかの一発逆転劇。
マンガやドラマではいいかもしれませんが、現実はこれではいけないと林さんは言います。
もっとも大切なことは、淡々と日々を積み重ね
逆転しなくてもよいような状況をつくること
だというのです。
もしそんな状況に陥ってしまったら
- なぜ「逆転」を目指さねばならない状況に陥ったのか?
- 似たような立場にいて、「逆転」など考えなくてもよい人と自分との違いは、いったい何なのか?
と考え、二度と逆転など狙わなくてもいいように行動することが大切だということです。
逆転できるとついその結果に酔ってしまい、そもそもなんでそんな状況になってしまったかなどを冷静に振り返ることってむずかしいですが、それではいけないことを気づかせてくれますよね。
まとめ
今回ご紹介した「林修の仕事原論」の本をつうじて、林さんは一貫して「超ドライ」です。
自分(林さん)を利用しようとして声をかけてくれるメディアの行動に対しても、考えようによってはそれは「純粋」な行動のあらわれだと言います。
彼らが何かのプランを実現しようとする際に、それを実現できそうな「パーツ」を探しているなかで「林 修」を選んだ。
その行動というのは、自分たちの利益を考えているだけにもっとも合理的で適した解である可能性が高いのだ、と理解するのです。
そして全力でそれに応えてうまくいく。
まさに冒頭で紹介した言葉「うまくいく仕事」が天職を体現しています。
この本の中には、今回ご紹介した名言やエピソードの他にも宝物のような言葉や発想がたくさんあります。
ぜひあなた自身の目でその宝物を拾っていただきたいと思い、この書評記事を描かせて頂きました。
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