こんにちは。歯科衛生士のナカタ コマチです。
このブログを読まれている方の年齢はさまざまだと思いますが、人生、数十年も生きていればどこかしら虫歯の治療をおこなっている方がほとんどなのではないでしょうか。
鏡でご自分の治療後の歯を見れば、その虫歯がどこまですすんだ状態だったのか、そしてこの先はどうなっていくことが予想されるのか、だいたいわかってしまうんです。
今回は、虫歯の代表的な治療法とあわせて、あなたの治療した歯はどの段階まで虫歯が進行していたのか、また今後はどうなる可能性があるのかについてお話ししたいと思います。
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4段階ある虫歯の程度
まずは虫歯の進行段階について簡単に説明しますね。
虫歯は軽い方から順番に「C1」「C2」「C3」「C4」の4つに分類されます。(それぞれ「シーワン、シーツー、シースリー、シーフォー」と読みます。)
- C1:歯の一番外側にあるエナメル質にできた虫歯
- C2:象牙質まで達した虫歯
- C3:歯髄(神経)まで達した虫歯
- C4:歯の根元しか残っていない状態の虫歯
イラスト:歯の役割と仕組み|歯の健康基礎知識|ライオンより引用
それぞれの段階により、虫歯の治療法はかわってきます。
逆に言うと、治療後の歯の外観から、その歯の虫歯はどこまで進行していたのかはおおむね分かるということです。
代表的な治療法
代表的な治療法は、3つあります。
虫歯の段階が軽いものから順に、以下の方法です。
- レジンの充填
- インレー
- クラウン
それぞれについて、くわしく見ていくことにしましょう。
レジンの充填
必ずしも一概には言えませんが、主に「C1」「C2」の状態の虫歯に対する治療で使われます。
虫歯などで歯の一部に穴があいたりした部分があるとき、その穴を修復することを「充填(じゅうてん)」といいます。
充填することによって、噛んだり話したりの機能面や見た目を回復することができ、さらにその後の虫歯・歯周病の進行を防ぐことができます。
レジンとは、プラスチックのような詰め物のことです。
非常に一般的な治療法ですのでイラストをご覧いただくと見覚えのある方も多いのではないでしょうか。
ご覧のとおり、色も自然な歯の色に近く、見た目をあまり損なわずに治療ができます。
前歯から奥歯まで、小さい虫歯であればほとんどこの方法で治せますし、費用もそれほど高くかかりません。治療も1回で終わります。
もちろん虫歯にならないことが一番ですが、定期的に歯科医院に行くことで、虫歯ができていてもこの「レジンの充填」で済む程度の進行で発見できることが望ましいです。
ただ、見た目、費用、治療期間ともに優等生な「レジン充填」ですが、まったく欠点がないわけではありません。
欠点
「変色」と「摩耗」は避けることができません。5年以上程度を目安に、歯医者さんで状態をチェックしてもらうと安心です。
インレー
必ずしも一概には言えませんが、主に「C2」「C3」の状態の虫歯に対する治療で使われます。
インレーとは、奥歯の虫歯治療の時、歯を削り、歯型を取って作る小さな詰め物のことをいいます。
保険診療では主に銀歯を使います。以下のイラストのようなイメージですね。
費用は保険適用で1,500円〜3,000円程度です。
また、先ほど説明した「レジン充填」は治療回数は1回で終わりますが、このインレーの治療には最低でも2回の治療が必要となります。
これは、歯との間にすき間ができないように精密に作る必要があるためで、かならず技工所と呼ばれる施設でつくられるからです。
主に奥歯に使われるインレーには、噛む力が強く加わるため強い強度が必要です。そこで金属である銀歯が一般的ですが、口を開けた時に銀歯が見えてしまうといった見た目の面で欠点もあります。
最近では…
銀歯は抵抗がある…という方には、最近、白くて透明感があり見た目がよく、摩耗もしにくい「セラミックインレー」という方法も広がってきました。
ただこのセラミックインレー、保険適用外となってしまい40,000円〜70,000円の費用がかかってしまう点がネックです。
加えて、摩耗には強いのですが、まれに割れてしまうこともあったりして、メリット・デメリットを考えて選択する必要があります。
クラウン
必ずしも一概には言えませんが、主に「C3」「C4」の状態の虫歯に対する治療で使われます。
クラウンとは、比較的大きな虫歯を治療したあとや、根管治療を行った後に使用する被せ物のことをいいます。
以下のイラストのようなイメージです。
費用は保険適用で3,000円〜4,000円程度です。
この「クラウン」もさきほどの「インレー」と同様、技工所で作る必要があるため、最低でも2回の通院が必要です。
見た目からもなんとなく感じると思いますが、クラウンで治療しなければいけないということは、虫歯自体も一般にC3からC4まで進行している悪い状態だということです。
歯が痛むのを一定期間放置して、我慢できなくなってから歯科医院に駆け込むような状態であれば、いきなりクラウンでの治療となってしまいます。
さらに、治療後は被せ物で歯のすべてを覆っていることから、一見「もうこれで虫歯にはならない」と思ってしまう方が多いのですが、そんなことはありません。
磨き残しや年齢を重ねることによる歯ぐきの退縮などが原因で、クラウンと本来の歯の境目から、ふたたび虫歯になってしまうことも実は多いです。
クラウンで対処できなくなってしまった歯に残された治療は抜歯しかありません。
クラウンを被せたからといって安心せず、歯ブラシはもちろん、フロスや歯間ブラシをかならず使って、できるだけ長く使えるよう大切にしていただきたいと思います。
まとめ
虫歯の段階ごとに主な治療法を説明しました。
歯の治療というのは、結局のところすべてが延命処置でしかないといえます。
身体の傷が治るように「治る」わけではないからです。
初期の段階で見つけられた虫歯であれば、時間も費用も見た目的にも負担が少ない「レジン充填」による治療ですみますが、
悪化するにつれ「インレー」「クラウン」と負担は増すばかりです。
ましてすでにクラウンによる治療を行なっている方は、その後悪化してしまうと、いよいよ抜歯するしか手段がなくなってしまいます。
ご自分の歯をいま一度鏡でご確認いただき、その治療はどの段階の治療だったのかを知ることで、この先に残された道を想像することができます。
80年も使う大切な歯ですから、粗末に扱わず、できるだけ長く付き合っていけるよう心がけていただけるといいなあと心から思います。
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