こんにちは。歯科衛生士のナカタ コマチです。
冷たいものを食べたり飲んだり、それどころか風が当たっただけで歯がしみることがあります。
わたしも経験がありますが、あの歯がしみる感じってとても不快ですよね (><)
このような、ある刺激によって歯がしみる症状を知覚過敏(ちかくかびん)といいます。
今回は多くの方が一度は悩まされたことがあるであろう、知覚過敏の原因や対処法についてお話ししたいと思います。
目次
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知覚過敏になる原因
じつは歯がしみる原因として考えられる要因は、いくつもあるんです。
代表的なものをあげてみると
- 虫歯
- 歯周病
- 歯ぎしりによる歯のエナメル質の摩耗
- 歯の破折やひび
- 歯ぐきの退縮(加齢・過度な歯みがきによる)
- 歯の治療による刺激
- 酸蝕歯(さんしょくし)
- 外傷(強打したなど)
などです。
このうち「虫歯」や「歯周病」「破折やひび」「外傷」などは、その原因を取り除くことで歯のしみる症状を改善させる必要があります。
いわゆる「知覚過敏」の原因として当てはまるのは
- (加齢や過度な歯みがきによる)歯ぐきの退縮
- (歯ぎしりなどによる)エナメル質の摩耗
の2つです。
この2つがなぜ知覚過敏の原因になるのか。まずはここを理解することから始めましょう。
歯がしみる仕組み
歯は、以下の図のような構造をしています。
http://jp.sunstar.com/useful/plaque/より
歯の一番外側は「エナメル質」とよばれる人間の体の中で一番かたいと言われる組織でできています。
ですが、図の左半分をご覧いただくと分かるとおり、エナメル質は歯のすべての部分を覆っているわけではなく、歯肉(歯ぐき)の内側にはありません。
ここで先ほどの、知覚過敏の2つの原因
- (加齢や過度な歯みがきによる)歯ぐきの退縮
- (歯ぎしりなどによる)エナメル質の摩耗
によって、上図の右半分のように、エナメル質のひとつ内側の組織である「象牙質(ぞうげしつ)」(図の黄土色の部分)がむき出しの状態になってしまうことがあります。
これが知覚過敏のもっとも典型的な状態なんです。
つまり、象牙質がむき出しの状態になってしまうことで、象牙細管を伝って冷たいものなどの刺激がダイレクトに内側の組織に伝わることが、知覚過敏の痛みの理由ということです。
ではこの知覚過敏を治すにはどうすればいのか。以下で説明します。
知覚過敏の治療法
知覚過敏への対処法にもいくつかあります。
もちろん最終的には歯科医院で治療することがもっとも確実ですが、その前にご自分でできることもありますので、手軽なものから順に紹介しますね。
歯ブラシをやわらかめのものに替える
過度な歯みがきによって歯肉(歯ぐき)が下がって、象牙質がむき出しになることで歯がしみますので、やさしく歯をみがくことを意識するとともに、
物理的にやわらかめの歯ブラシを使うことによっても、歯がしみるのを防ぐことができます。
また古い歯ブラシを使っていると毛先が広がり、歯肉に悪い影響を与えることもありますので、歯ブラシは1ヶ月でマメに交換することをおすすめします。
とても簡単なことですが、歯ブラシを替えることで拍子抜けするぐらいあっさりと知覚過敏の症状がおさまる方もいるんです。
歯ブラシは以下の歯科専売品の「タフト24」で間違いありません。(やわらかい「Sソフト」か「SSスーパーソフト」をお選びください。)
【関連記事:歯科衛生士おすすめ【超王道の歯ブラシ】は「タフト24」と「DENT EX システマ」です 】
キシリトールガムをかむ
正確には、キシリトールガムを噛んで「唾液を出す」ことが目的です。
唾液の中にはカルシウムやリン酸など、歯の再石灰化を促すミネラルが含まれていますので、傷ついた歯の表面を保護することができます。
ガムを噛むにあたっては、砂糖が入っているものは虫歯の原因になってしまい逆効果ですので、「甘味料としてキシリトールを100%配合している」ガムを噛むことが必要です。
【関連記事:【歯科衛生士オススメ】キシリトール100%ガムを知っていますか? 虫歯予防は効果的に!】
「シュミテクト」を使う
知覚過敏と言えば「シュミテクト」というぐらい有名な歯みがき粉です。軽度の知覚過敏であればほんとうにこのシュミテクトを使うだけで症状は改善されます。
わたしの働く歯科医院でも、知覚過敏が軽度であり、本格的な治療までは必要ない方に対してはこのシュミテクトをすすめています。
シュミテクトは冷たいもの等の刺激をつたえる「象牙細管」と呼ばれる組織に「イオンバリア」をはり、痛みの原因を軽減できるすぐれた歯みがき粉です。
(「センソダイン」の名で世界でも有効性が証明されています。)
歯科医院で治療する
上記の3つで改善されない場合は、歯科医院での治療が必要です。
歯科医院での治療の詳細な方法は割愛しますが、治療には以下のような方法があります。
コーティング剤
歯のしみる部分にコーティング剤を塗り、知覚過敏の症状を改善させることができます。(コーティングですので、時間がたつとはがれてしまうこともあります。その場合は再度塗り直します。)
レーザー
このレーザーには神経を落ち着かせる働きや歯の表面を丈夫にする働きがあります。
歯のしみる部分に当てることで知覚過敏の痛みが改善されます。
レジンペースト
歯肉が下がり、歯の根元が削られてしまっている場合は、その削れている部分にレジンと呼ばれるプラスチックを覆います。
レジンで覆うことで歯がしみる状態を改善することができますし、加えて、削れている部分につきやすい汚れを防ぐこともできます。
それでもダメなら…
歯科医院でさきほどの治療でも改善しない場合は、神経を抜くこともあります。
ただしこの場合は、ただ単に知覚過敏で歯がしみるというより、歯周病ですごく歯肉が下がってしまっているということが多いです。
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まとめ
歯が少ししみるなぁ。
と思ったらまずは最初に紹介した方法
- 歯ブラシをやわらかいものに替える
- キシリトールガムを噛む
- 「シュミテクト」を使う
を試していただき、それでも改善しない場合は歯科医院へ相談する。という流れで対応してみてください。
ですが、そもそも歯がしみる原因が「虫歯」や「歯周病」「外傷」等の場合は早めに歯科医院で治療することが必要だということも忘れずに対応してくださいね。
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