こんにちは。歯科衛生士のナカタ コマチです。
わたしが歯科衛生士になってはじめに就職したのは、関西にある「◯◯◯インプラントセンター」というところでした。
そこはインプラントセンターというだけに、毎日のようにインプラントのオペがあり、また1度に3本4本の人口歯を入れるような大掛かりなオペもしょっちゅうありました。
インプラントとは、失った歯のかわりに人工の歯を「あごの骨」にうえる治療のことです。(パッと見、恐い気がしますが…そんなことはありません (^^))
インプラントについてもう少しくわしく知ってみたい!という方はぜひこちらの記事もごらんください (^^)
【関連記事】「歯を抜いた後の治療法」3つ! 【ブリッジ・入れ歯・インプラント】についてくわしく説明します
その歯科医院では、上下合わせて10本以上インプラントをいれる方も少なくなく、悪いところだけを治す、というよりも
全部の歯を総合的に診て、バランスよく噛めるようにインプラントや矯正をおこなうといった口腔内をプロデュースする的な治療が多かったのです。
自費治療のお客さんも多く、見積書や領収書の金額が200万〜300万円など、当時のわたしには(今もですが ^^;)引っくり返っちゃうようなお金が飛び交う医院でした。
自分の歯が保たなくなることでインプラントを検討されるわけですから、そこに来院される患者さんは上下の歯ともに虫歯や歯周病がひどかったり、すでに歯がなかったりしてモノが「思うように噛めない」という悩みを抱えた方たちでした。
人口歯を体に埋め込むわけですから、治療では当然出血もありますし、万が一の可能性として神経や骨を傷つけてしまう可能性も決してないわけではありません。
もちろん、時間もお金もかかります。
ざっくり言うと、人口歯一本で治療に約3ヶ月、40万円程度はします。(金額は医院によって差がありますので、あくまで目安程度としてご理解ください。)
こういったマイナス面も見過ごせないのですが、やはり近年インプラントの普及が進んでいるということは、多くのメリットがあると考える患者さんや医師が多いということでもあります。
入れ歯に比べると
- 見た目がキレイ(他人が見たとき、人口歯とわかることはほとんどないといっていいと思います。)
- 自分の歯のようによく噛める
- ほかの健康な歯を削る必要がない
などなど、たくさんのメリットがあり、実際わたしもインプラントをすることで人生を楽しめるようになった方を何人も見てきました。
ところが、です。
すこし前置きが長くなりましたが、じつは今回は「インプラントすばらしい!」「最高〜」といっただけの話ではないんです。
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インプラントの問題点も明らかになってきている
どんな治療でも同じだと思いますが、「夢の治療法」ってないんですよね。
まず、10年ぐらい前からインプラントが注目を浴びるようになって治療する患者さんが増えてきました。
今やコンビニの数より多い歯科医院ですから、多くの若い先生方は生き残りをかけてインプラントの勉強をされました。
インプラントは自費治療ですから、やはり「儲かる」ということもあるでしょう。
そのため、十分なレクチャーや事前説明をせずに治療を行ってしまう例も増えてきてしまったんです。
「インプラント」という治療法そのものはすばらしいものですが、その後のケアを怠るともっと大変な思いをする可能性もある、ということをぜひ知っていただきたいのです。
夢の治療法はない、と言ったのはこういう理由です。
つまり「インプラントをしたからもう大丈夫!」ではないということです。
特に注意していただきたい項目をあげてみますね。
インプラント周囲炎
これはインプラントを行った周囲の粘膜や歯肉、骨に炎症がおこってしまう病気です。
先ほどのインプラントの図をもう一度ご覧ください。
人口歯を支える器具をあごの骨に埋め込んでいるのがわかりますよね。
もちろんインプラントまわりになにも炎症がなければ問題ないのですが、磨き残しなどによって歯垢(プラーク)が停滞すると、当然虫歯・歯周病といったトラブルがおきます。
すると、自分の歯よりもあっさりと抜けてしまったり、周囲に膿がでて対応に苦しむ例が後をたたないのです。
そもそもインプラントを入れている方の多くは、虫歯や歯周病がすすんでしまっていた方です。
ですから、日頃のブラッシングなどのお手入れに気を使い、インプラントを入れた後でも(だからこそ)、注意をしてメンテナンスしていないとインプラント周囲炎になってしまう可能性が非常に高いといえるのです。
まわりの歯の状態が変化する
インプラントを入れたときには問題なかった歯も、歳を重ねれば状態は変わってきます。
たとえばインプラントの歯と噛み合わせる歯がすり減ったり、虫歯の治療をしたり、場合によっては抜歯をしたりすることもあるかもしれません。
するとなにが起こるかというと
人口歯であるインプラントはすり減ったりしないので、そのかみ合わせの歯とのバランスが悪くなったり、ときには粘膜をきずつけてしまったりもするんです。
まとめ
インプラントはすばらしい治療法ですが、その後のケアがとても大切だということがわかっていただけたでしょうか。
インプラントをしなくてはいけないぐらいの歯になる方というのは、そもそも歯のケアが足りていなかった方なのです。
ですから、もしインプラントをするのであれば心を入れ替え、今までよりもずっとずっと歯に気をつけて生活していただく必要があります。
これができないと、インプラント周囲炎をはじめ2次的な疾患を引き起こす原因になってしまいます。
インプラントをしようかどうしようか迷われている方は、ぜひこのポイントをおさえた上で、判断していただければとおもいます☆
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