こんにちは。歯科衛生士のナカタ コマチです。
「口腔乾燥症(こうくうかんそうしょう)」というよりも「ドライマウス」という言葉の方が聞きなじみがあるかもしれませんね。
口腔乾燥症(ドライマウス)というのは、要は口の中の唾液分泌量が減ってしまうことを言い、口がネバネバするなどの不快な症状があるだけでなく、歯や身体全体に悪影響があることがわかってきています。
みなさんの中にも経験がある方は意外と多いとおもうのですが、ドライマウスは特別な病気が引き金になっておこる症状ではなく、「日常のストレス」などでも簡単に生じます。
心配事があったり、薬を飲んだりして口が乾き、口臭が発生するなんてことは珍しいことではありませんが、これも立派な口腔乾燥症のひとつです。
今回はそんな意外と身近な口腔乾燥症(ドライマウス)についてお話したいと思います。
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唾液は何からできている?
口腔乾燥症になる原因等をお話しする前に、まずはこれを知っておいていただくとより理解がスムーズに進むとおもいますので説明しますね。
じつは唾液って血液からできてるんです。
あまりピンとこないのですが、事実なのです。ですから
- 血流が流れにくい状態
- 血流が少ない状態
になると、口腔乾燥症が生じることになってしまいます。
ちょっと専門的な言葉をつかうと、
「原唾液」といわれる唾液のもとが毛細血管の血液から「間質液」としてうまれ、「管腔」と呼ばれる場所に分泌されます。その後、「導管」を通過して口に分泌されて、晴れて「唾液」となるわけですが
こんな理屈はどうでもいいです。(キッパリ)
唾液のもとは血液なんだ、ということだけ知っていただければ、このあとの「口腔乾燥症になる原因」がより理解しやすくなりますので覚えておいてくださいね (^^)
口腔乾燥症(ドライマウス)になる原因
いよいよ原因です。
ここでは、大きな原因として4つあげさせていただきます。
- 薬
- 唾液腺疾患
- 全身疾患
- ストレス
それぞれをくわしくみていきましょう。
薬
じつは口腔乾燥症の原因の中で、一番多いのがこの「薬」つまり「処方薬」によるものなんです。
びっくりするのですが、実に一般的な処方薬の約80%は(程度の差はありますが)口腔乾燥症を引き起こすことが報告されています。
口腔乾燥症を引き起こす薬としては「抗コリン作用」をもつものが有名です。
有名どころでは「エスタック鼻炎カプセル」なども抗コリン作用を有しています。
そのほかに例をあげると
- アトロピン
- ブチルスコポラミン
- ピレンゼピン
- イプラトロピウム……
などなど、たくさん存在します。
もちろん抗コリン作用をもつ薬を飲んだ人はみんな口腔乾燥症(ドライマウス)になるというわけではありませんが、多くの薬には唾液の分泌を抑えるはたらきがあることを理解していただければと思います。
唾液性疾患(だえきせいしっかん)
ドライマウスになる2つめの原因は唾液性疾患です。
- 細菌やウイルスによる感染性のもの
- 唾石症(だせきしょう)とよばれる、唾液腺の中や導管の中に石(唾石)ができることによって生じる病気
などがあります。
全身疾患
全身疾患として代表的な疾患は「シェーグレン症候群」「リウマチ」などです。
病気の詳細な症状は割愛しますが、全身疾患にともなうドライマウスもあるということです。
ストレス
最後にストレスです。
唾液腺というのは「副交感神経」と「交感神経」の二重の支配を受けています。
つまり唾液の状態というのは感情や精神的な状態によってとても大きく変化するということが言えるんですよ。
身に覚えがある方も多いと思いますが、緊張すると交感神経が活発になることにともなってネバネバした唾液が分泌されます。
逆にリラックスした状態だとサラサラとした唾液がでているんです。
「唾液は血液からできている」とお話ししたことからもお分かりいただけるかもしれませんが、
ストレスにより血流が悪くなる → 唾液の分泌が減少する
という流れもあって、口腔乾燥症(ドライマウス)にはストレスは大敵なのです。。。
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歯への影響
ここからは肝心の「口腔乾燥症が歯に与える影響」についてお話しします。
虫歯
まずは虫歯です。
口腔乾燥症(ドライマウス)によって唾液が減少することで、唾液の「天然の抗菌剤」効果がなくなってしまうんですね。
【関連記事】あなたの知らない唾液のはたらき
そして、ドライマウスによる虫歯には特徴的な点があります。
それは1本だけでなく複数本まとめて虫歯になるということです。
通常の虫歯であれば、磨き残し等でたまったプラークが原因でその歯が虫歯になるわけですが、
唾液が少なくなる(=口腔乾燥症)のは、なにもその一本に限った話ではないですよね。
多くの場合、近くに生えている複数本の歯が虫歯になっている事が多いです。
逆に言うと、まとめて虫歯ができている場合は口腔乾燥症(ドライマウス)や口呼吸を疑ってみる必要があるということです。
歯周病
じつは口腔乾燥症(ドライマウス)は歯周病も引き起こします。
通常、ものを食べてすぐというのは唾液がたくさん出ることで口の中がキレイになり、食べもののカスなども取り除かれるんです。
ですが口腔乾燥症で唾液が減少していると食べかすが取り除かれずに、特に「歯と歯の間」に残ったままになってしまいやすいんですよ。
ココですね。
http://haisha-yoyaku-blog.jp/plaque-5295より
食べかすが残ると、そこで歯肉炎を発症することがあり、それが習慣化すると歯周病になってしまうというわけです。
口腔乾燥症(ドライマウス)を防ぐには
対策にはいくつかありますが、じつは効果が高いのがマッサージです。
だ液腺マッサージ | はじめよう!やってみよう! 口腔ケアより引用。
以前もご紹介しましたが、唾液腺のマッサージはとても効果が高く、高齢者の方の施設などで活用されていたりもします。
その他には、いまは効果的な「保湿剤」が売られていたりもします。
病気の症状や薬の副作用で口腔乾燥症(ドライマウス)になってしまった方のために、さまざまな商品があります。
おおきく分けて
- リンスタイプ
- ジェルタイプ
のふたつがあります。
リンスタイプの特徴としては一日に何度かつかう必要があるため、あまり苦手な味だと続かなくなってしまうと思いますので、「味」が大事だったりします(^^)
一方ジェルタイプの方は、口の粘膜に塗り込むタイプになりますので、「質感」の相性が大切です。
伸びが良くて固まらない、粘膜の表面に一定時間とどまってくれるなどの観点から選んでみると言いと思います。
【リンスタイプおすすめ】
【ジェルタイプおすすめ】
さいごに
他人事のようで、じつはとても身近な症状である「口腔乾燥症(ドライマウス)」 についてお話しました。
高齢者の方はもちろんなのですが、若くてもストレスがかかることの多い方などは口腔乾燥症になっている方もおおいです。
日々の生活で自分なりのリラックスを心がけることが一番大切ですが、今はドライマウスの対策商品もありますのでご自分のじょうたいにあわせて選んでいただくこともいいと思います。
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